「スマートビルのメリットってなに?」「スマートビル化すると何ができるようになる?」このような疑問を抱いているのではないでしょうか。スマートビルとは、AIやIoTなどの最新技術を駆使し、より快適で効率的な空間を提供する建物のことです。省エネや環境負荷の低減、ビルの運営コストの削減にもつながることから、森ビルやソフトバンクなどの大手企業もスマートビルを導入しています。この他にもスマートビルは多くの企業で導入されており、市場規模は拡大しつつあります。あなたの自社ビルもスマートビル化するときがくるかもしれません。そこで本記事では、スマートビルのメリットや課題、事例などを紹介します。スマートビル化を検討されている企業の担当者は、ぜひ最後までご覧ください。スマートビルとはスマートビルとは、最新のデジタル技術を駆使して運営・管理を最適化した次世代のビルのことです。最新のデジタル技術には、AIやIoT、BEMSといったシステムが含まれます。これらを活用するとエネルギー消費量やコストの削減が可能になるでしょう。スマートビルはエネルギー消費の最適化を図り、持続可能な社会の実現に貢献する役割を果たしているのです。多くの企業がスマートビルを導入すれば、環境に優しいビル運営が実現されます。スマートビルのメリット5選スマートビルの導入には多くのメリットがあります。ここではその中でも、とくに注目すべき5つのメリットを紹介します。省エネ化につながるビル管理が効率化されるセキュリティが強固になるマーケティングに活用できるSDGsへの取り組みをアピールできるこれらのメリットを踏まえて、スマートビルの導入を検討してみてください。1. 省エネ化につながるスマートビルのメリットのひとつは、省エネにつながる点です。AIやIoTなどの技術を使用すると、ビルのエネルギー消費量をリアルタイムで監視でき、無駄を削減できるようになります。たとえば、照明のケースだと、IoTセンサーにより人の有無を感知して、人がいるときのみ点灯させることが可能です。また、空調のケースだと、在室状況や外気温を感知し、それに応じて温度が自動調整され、過剰な冷暖房を防ぎます。そのため、スマートビルはスマートビルでない建物と比較して、エネルギー消費量を大幅に削減できます。2. ビル管理が効率化されるスマートビルでは、ビルの管理業務がAIやIoTなどによって効率化されます。今まで人手を必要としていた作業が自動化され、管理の負担が大幅に削減されるためです。たとえば、IoTセンサーで収集したデータを用いると、設備の故障予測や最適なメンテナンスのスケジュールの立案ができるようになります。さらにAIにデータを分析させると、故障のパターンを事前に把握可能です。従来は人が行っていた設備の定期点検にAIを導入させると、突発的なトラブルに見舞われるのを避けられるでしょう。AIを駆使してビル管理の効率化を促し、定期的なメンテナンスを実施することで、設備の修理費用の削減にもつながります。3. セキュリティが強固になるスマートビルのメリットとして、セキュリティが強固になることも挙げられます。これはAI搭載の監視カメラの導入や、IoTセンサーの設置により実現できます。ビル内外の状況をリアルタイムでモニタリングし、危険を迅速に察知できるためです。具体的には、AIカメラの顔認証技術を用いて、建物内にいる人物の識別と不審行動を自動的に検出します。異常が発生した場合には、即座に警備員にアラートを出し対応します。また、IoTセンサーを建物の各エリアに設置すると、不法侵入にも備えられます。IoTセンサーは温度や気流の変化を敏感に察知するため、警備員の目が届かないような場所も監視が可能です。ビル全体のセキュリティシステムが向上すれば、警備チームが迅速かつ効果的に対応できる環境が提供されます。4. マーケティングに活用できるスマートビル化すれば、マーケティングにおいても強力な力を発揮します。IoTセンサーとAIを用いて、各テナントの入客数や滞在時間を正確に把握すれば、利用客の多い時間帯や来訪者の傾向を数値化できます。テナント側はデータを得ることで、より効果的にマーケティング戦略を展開できるのです。たとえば、IoTセンサーを用いると、来客時間のピークを把握できます。商業施設のケースでは、データを活用して忙しい時間帯にスタッフを増やし、回転率を上げる施策を取ることが可能です。この他にも飲食店では、IoTデバイスを用いて注文履歴を記録しておくことも可能です。人気メニューやあまり注文されないメニューの刷新に役立てられるでしょう。スマートビル化すると、ビル全体の運営やテナントのビジネスに、大きな付加価値を提供できることになります。5. SDGsへの取り組みをアピールできるスマートビルを導入すると、SDG'sへの取り組みもアピールできます。SDG'sとは、国連が提唱する「持続可能な開発目標」のことです。2030年までに達成するべきグローバルな17の目標を指し、貧困の撲滅や地球環境の保護など、すべての人々が平和や豊かさを享受できる社会の実現を目指しています。出典:日本ユニセフ協会スマートビルを導入すると、エネルギー消費量の削減や、環境負荷の低減などにつながります。上記のメリットは、SDGsの17の目標のうち「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「つくる責任つかう責任」に貢献できるでしょう。その結果、企業がSDG'sに積極的に取り組んでいることを、対外的にアピールできます。スマートビルの課題スマートビルには多くのメリットがある一方で、その導入と運用にはいくつかの課題が存在します。これらの課題を理解し、適切に対策を講じることが、スマートビルの成功には欠かせません。以下の3つの主要な課題について詳しく紹介します。 導入コストが高額になる 運用・管理が複雑になる 個人情報の管理に手間がかかるスマートビルの導入や運用に関する課題を理解して、スムーズに取り入れましょう。1. 導入コストが高額になるスマートビルの導入には、初期費用が高額になる可能性があります。その理由は、AIやIoT、BEMSなどの最新のデジタル技術を取り入れるからです。スマートビル化には、ビルにIoTセンサーを取り付け、収集した膨大なデータを分析できるAIを導入する必要があります。その過程ではビル内のインフラ整備や、システムの統合などが必要になるため、初期コストがかさむのです。導入コストを抑えるためには、デジタル技術の部分的な導入を検討しましょう。たとえば、人の集まりやすい食堂やエントランスなどに限定すると、ビル全体にデジタル技術を導入するのに比べて初期費用を抑えられます。部分的な導入により得られた効果をチェックしながら、予算に合わせて段階的に取り入れるとよいでしょう。そうすると、スマートビル化の導入コストが高いという課題が解決されます。2. 運用・管理が複雑になるスマートビルには、AIやIoTなどの専門的なシステムが導入されるため、運用とメンテナンスが複雑になる課題があります。専門的なシステムを適切に管理するには、精通した知識とスキルが求められます。デジタル技術を適切に運営するには、以下のような施策を講じるとよいでしょう。従業員に対して研修を行い専門知識を養わせる専門スキルを持っている人材を採用する外部の専門業者に運用・管理を委託する上記のうち、おすすめなのが外部の専門業者に委託することです。専門業者に委託すると最新の技術を適切に運用でき、管理の負担を軽減できます。スマートビルディングの成功には、適切な管理体制の構築が不可欠です。3. 個人情報の管理に手間がかかるスマートビルでは、顔認証システムや従業員データの参照など、さまざまな個人情報を取り扱います。ビル内のセキュリティや利便性は向上しますが、同時に個人情報の管理が複雑になり、管理者の負担になる可能性があります。セキュリティ対策に強い人材を採用して専門部署を設置したり、専用ディスクを用意して共有ネットワークから切り離したりすると、適切な管理をしやすくなるでしょう。専門知識がある人材を採用すると、個人情報を適切に保護できます。また、共有ネットワークにつながっていない専用ディスクに個人情報を保管すると、サイバー被害の防止につながります。これにより、知識がない人による個人情報の取り扱いがなくなり、適切な管理が可能になるでしょう。スマートビルの事例成功しているスマートビルの事例としては、ソフトバンク株式会社の本社ビルである「東京ポートシティ竹芝」が挙げられます。このビルでは、AIとIoT技術を駆使して、利便性・効率性・セキュリティの向上を実現しています。具体的には警備ロボットと高度な検知システムを導入。不審者や侵入者を即座に検知してアラートを発する体制を整えています。これにより人的警備の負担を軽減しつつ、24時間体制の高度なセキュリティを可能にしています。効率化においては、AI搭載の清掃ロボットが巡回しており、ゴミ箱の容量検知システムを組み合わせることで、清掃業務の最適化を図っています。また、トイレの空き状況をスマートフォンで確認できるシステムを導入し、清掃の効率化を実現しました。さらに、ビル全体のエネルギーの使用状況をIoTセンサーでモニタリング。それをAIが分析して、空調や照明の最適制御を行い、省エネと快適性の両立を図っています。東京ポートシティ竹芝では、最新のAIとIoTを組み合わせて、快適な環境があるオフィスビルを提供しています。まとめ本記事では、スマートビルのメリットについて解説しました。最新のテクノロジーを駆使しているスマートビルには多くのメリットがあります。しかし、その反面コストや運用についての課題が残るのも事実です。ぜひ本記事を課題の克服や導入時の参考にしてください。株式会社メンテルでは、スマートビル化をサポートするアプリケーションやソフトウェアを開発・提供しています。スマートビル化に向けて、システムの開発・導入を検討されている企業の担当者は、ぜひメンテルにご相談ください。