「空調のIoT化ってなんだろう...」と考えているのではないでしょうか?IoTとは、家電や空調などの「モノ」と「インターネット」をつなぐ技術です。この技術を活用すると、モノを遠隔で管理できたり、消費エネルギーを抑えたりできます。ただし、空調のIoT化の仕組みは?デメリットはないの?と考える方もいるでしょう。そこで本記事では、空調のIoTの仕組みやメリット・デメリット、効果などを解説します。本記事を読むと、空調のIoT化により、どのように空調の管理が変わるのかわかります。IoT化ってなんだろう?と疑問を持っている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。IoTとは?IoTとは「Internet of Things」の略で、さまざまなモノ(物理的な機器や装置)をインターネットにつないで、データを収集し管理、共有する技術のことです。空調をIoT化した場合、機器にIoTデバイスを組み込み、リアルタイムで稼働状況や消費エネルギーなどのデータを収集できます。このデータを活用すると、数ヶ月後のエネルギー消費量や稼働状況を予測できるようになるでしょう。また、部品の経年劣化をいち早く発見できます。たとえば、エネルギー消費量のデータを年数ごとに比較して、電力の消費率が高くなってきたら「どこか故障しているかも」と判断できるためです。このような技術が発達している背景には、パソコンやスマートフォンなどの台頭が大きいとされています。以下のようにIoTデバイスは、世界的にも普及してきています。出典:経済産業省|世界のIoTデバイス数の推移及び予測空調をIoT化すると、手動で行っていた分析や調整が、自動化できるため、企業は業務の効率化を実現できます。空調のIoTの仕組みについて空調のIoT化は、設備にセンサーを組み込み、インターネットに接続することで実現可能です。センサーは、室温や湿度などのデータを収集して、インターネットに送信します。送信されたデータは中央管理システムでグラフに変換されます。そのデータをもとに、空調の稼働状況が最適化されるように、空調設備に指示して制御する仕組みです。空調をIoT化する4つのメリット空調をIoT化するメリットを把握すると、自社で導入後にどのような運転ができるのかイメージしやすくなるでしょう。空調をIoT化するメリットは、以下の4つです。遠隔での操作が可能消費電力の可視化使用状況を学習し最適化経費を削減できるIoT化はすでに空調を稼働させているケースにも対応できます。ぜひ参考にしてください。1.遠隔での操作が可能空調をIoT化すれば、遠隔操作や一元管理が可能になります。IoT化されていない空調システムの場合、設定の変更やトラブルの対応をするために現地に行く必要がありました。しかし、空調をIoT化すると、施設管理者がいつでもスマートフォンやタブレットで空調設備の監視ができ、容易に制御できるようになります。空調を操作するのに現地へ行く必要がないため、管理者は移動の時間的・金銭的なコストを削減できます。2.消費電力の可視化空調をIoT化すると、消費電力の可視化が可能です。IoT化されていない空調の管理システムでは、施設全体の消費電力をすべて把握するのは難しいとされていました。しかし、IoTを取り入れると、センサーが空調の消費エネルギーをリアルタイムで監視し、データとして収集します。IoT化によってデータが「見える化」され、施設管理者はいつ、どのようなタイミングでエネルギーが消費されるのか把握できるようになります。3.使用状況を学習し最適化空調をIoT化すると、使用状況に基づいて電源を自動的に付けたり消したりできるため、無駄を省いた運用が可能になります。IoT化されていない空調は、あらかじめ設定していた稼働時間や温度などを基に運転されていました。しかし、データに基づき最適化するIoT空調では、センサーが人流や気温などを把握して稼働状況を最適化してくれます。たとえば、人が少ない時間帯は空調を弱め、人流の増加が予測されるときには、空調を強める操作を自動で行います。このため、IoT化により空調の使用状況を最適化できるでしょう。4.経費を削減できる経費の削減は、空調のIoT化の大きなメリットのひとつです。空調をIoT化すると、システムが人が快適と感じる温度に自動的に調整できます。エアコンの温度を1℃下げると、電気代が10〜13%ほど変わるとされているため、無駄なエネルギー消費を抑制でき、光熱費の削減につながります。また、施設管理者の人件費の削減も可能です。大型の商業施設やテナントビルでは、施設管理者が必要です。IoT化により空調を自動運転にすると、空調の管理システムを監視する手間を大きく省けます。これにより作業時間が短縮され、人件費を削減できます。空調をIoT化する2つのデメリット空調をIoT化するにあたり、メリットだけではなくデメリットも理解しておきましょう。通信機器の故障リスク電力依存へのリスクこれらのデメリットを理解して対策すると、長期間IoT化のメリットを享受できます。1.通信機器の故障リスクIoTは、通信機器に依存した技術です。通信機器が故障すると、空調を適切に管理・監視できず、運転が停止する恐れがあります。通信機器が故障するリスクに対しては、2つの対策で備えられます。ひとつ目は、定期的なメンテナンスです。機器が通常運転できるように、環境を整えておきながら、月に一度のメンテナンスを行います。機器を定期的にチェックすると、劣化やバグを早期に発見でき、故障を未然に回避できます。ふたつ目は、バックアップ体制の確保です。万が一通信機器が故障して通信が途絶えてもバックアップすることで、すべてのシステムがダウンするのを回避できます。2.電力依存へのリスクIoTを活用すると、取得したデータをインターネット上のクラウドで一元管理することになります。この管理を会社のパソコンで行っている場合には注意が必要です。停電が発生した際に、すべての機能が停止する恐れがあるためです。停電下で空調を使えたとしても、その温度や風量を操作できなかったり、データを収集できなかったりするでしょう。上記のような事態を避けるには、施設全体をカバーする非常用発電機を使用して、停電下でもパソコンを使えるようにする必要があります。このように、IoTデバイスへの電力供給を止めない工夫をすることが、IoTを活用する上で非常に重要といえます。空調のIoT化の効果空調をIoT化すると、消費電力を大幅に削減できます。空調のIoT化により、空調システムをリアルタイム監視し、最適な運転に調整できるためです。空調システムをIoT化で監視して、最適な運転を行うことで、消費電力を削減した事例をご覧ください。出典:大阪大学|AIによる空調の自動運転で30%以上の省エネを実現より大阪大学の研究によると、空調をAIに分析させるツールを導入したところ、快適な温度を維持しつつ消費電力を30%削減できました。本実験では、室温を15分おきにチェックするシステムを導入しました。さらに空調のデータや気象情報なども調査し未来の室温も予測しています。このシステムにより、空調を消しても室温が下がりにくい時間を把握できました。その時間帯に空調をAIで自動停止させたことで、稼働状況を最適化でき消費エネルギーの削減につながりました。この実験が証明するように、IoT化を推進することで、エネルギーの無駄を最小限に抑えることが可能となります。空調にIoTを導入するまでの流れ施設の空調をIoT化するのには、以下の7つのステップを踏む必要があります。空調の使用状況を分析する収集したデータの活用方法を明確にする施設にあったシステムを設計するIoTデバイスを空調に設置するデータ収集と管理ができる状態にするテストを行う実際の運用を行うまずは、空調の使用状況を分析し、エネルギーの消費パターンや運用効率を把握しましょう。次に収集したデータを基に、施設に合ったシステムを設計します。そして、IoTデバイスを空調システムに設置して、データの収集と管理が可能な状況にします。テストを数回行ったのちに、実際に運用を開始してください。施設の規模や取り付け箇所によって異なりますが、導入決定から運用開始までは3ヶ月以上と考えておきましょう。空調のIoT化に関するよくある質問空調のIoT化に関するよくある質問をまとめました。エアコンを後付けでIoT化できますか?空調をIoTで自作できますか?IoT化について疑問点があれば、ぜひ参考にしてください。エアコンを後付けでIoT化できますか?エアコンを後付けでIoT化することは可能です。センサーや指示を実行するための機材を取り付けて、インターネットに接続すればIoT化できます。しかし、専門的な知識が必要なため、IoTを扱う企業へ問い合わせるとよいでしょう。空調をIoTで自作できますか?空調のIoT化は自作するのは難しいといえます。インターネットへの接続の他に、収集したデータをまとめる知識・技術が必要になるためです。プログラミングの入力やサーバーの知識、センサーの組み上げが求められるでしょう。自作はせずに、専門の企業に相談するのがおすすめです。まとめこの記事では、空調のIoT化について解説しました。IoT化を推進すると、遠隔操作を可能にして人件費の削減が期待できます。また、無駄なエネルギー消費を抑え、光熱費の削減につながるでしょう。株式会社メンテルでは、空調システムから収集したデータを活用し、用途や人の導線、室温に合わせて稼働率を最適化させるソフトウェアを開発しています。建物の光熱費を抑えたいけど、何から始めればいいかわからない方は、ぜひこちらからホームページを覗いてみてください。関連記事:AIを活用した空調制御とは?実現する快適性とエネルギー効率を解説