「コンビニの電気代が高い...」コンビニの経営者ならば、誰もが抱える悩みでしょう。とくに近年は燃料価格の高騰に比例して、コンビニの電気代も値上げされています。今、電気代を抑える対策を講じておかないと、利益が少なくなり、経営がどんどん苦しくなります。この記事を読めば、コンビニの電気代が高騰している要因や推移、節約方法がわかりますので、ぜひ最後までお読みください。コンビニの電気代は緩やかに高騰中近年、業務用の低圧電力の単価は緩やかに高騰しています。新電力ネットのデータをもとに、2016年から2024年までの業務用低圧電力単価の推移をまとめました。出典:新電力ネット|全国の電気料金単価より株式会社メンテルが作成グラフのトレンドライン(赤色)は、電気料金単価の長期的な傾向を示します。つまり電気代は2016〜2022年5月にかけて上がっているのです。また、電気料金単価の推移(青色)は、2016〜2021年12月までは緩やかに変動していますが、2024年4月以降は大幅に値上がりしています。ただし、2022年12月には単価が急落しています。このように上がったり下がったりしながら、長期的なスパンでは緩やかに高騰しているのです。コンビニの電気代は今後も高騰する見通し2016年から2024年まで緩やかに値上がりしてきた電気代ですが、この傾向は今後も続くと予測されています。その要因は以下の2つです。天然ガスや石炭の価格の高騰「酷暑乗り切り緊急支援」の終了資源エネルギー庁によると、日本の電力の7割以上は火力発電によって賄われています。後述しますが、火力発電には天然ガスや石炭が必要になり、その価格は今後上昇すると予測されています。そのため、天然ガスや石炭の価格の高騰は、電気料金に影響するのです。さらに、政府が実施していた「酷暑乗り切り緊急支援」は、2024年10月に終了します。この支援策は、2024年の夏の厳しい猛暑に伴うエネルギー需要の増加に対応し、電気・ガス料金の負担を軽減するものです。低圧電力については1kWhあたり2.5〜4.0円の値下げが行われました。しかし、支援策の終了も相まって、今後は電気代の負担がさらに増加すると見込まれます。参考:経済産業省|2024年8月、9月及び10月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いましたコンビニの電気代が高騰する3つの原因電気代が高騰する根本的な原因は、大きく3つあります。燃料費の高騰電力の供給不足再エネ賦課金の値上げ日本は発電に必要なエネルギー資源の多くを輸入に頼っており、国際的な情勢の影響を強く受けやすい状況です。また、国内でも電力供給の不足が深刻な問題となっています。電気代が高騰した背景を理解し、対策を検討するために原因を詳しく見ていきましょう。燃料費の高騰日本は約7割の電力を火力発電で供給しており、その運用に欠かせない天然ガスや石炭の価格は、2040年まで上昇が続くと予測されています。その主な理由は、主に以下の2つです。世界的なエネルギー需要の急増ウクライナ侵攻による国際情勢の不安まず、新型コロナウイルスからの経済回復に伴い、世界的にエネルギーの需要が急増しています。また、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、日本のようなエネルギー輸入国は、ロシア産の天然ガスや石炭への依存を減らそうとしています。そのため、ロシア産以外の天然ガスや石炭の需要が増加して、価格が高騰しているのです。火力発電に大きく依存している日本では、燃料費の高騰が電気代の値上げに直結しています。参考:新電力ネット|石炭価格の推移新電力ネット|天然ガス価格の推移資源エネルギー庁|エネルギー白書2022 第2節 世界的なエネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵略電力の供給不足日本国内の電力不足も、電気代の高騰の一因です。資源エネルギー庁によると、東日本大震災の影響で多くの原子力発電所が停止。稼働している基数は震災前の60基から、2024年1月時点で13基まで減少しました。さらに、国内の火力発電所は老朽化が進んでおり、稼働中の発電所の約1割が運用開始から40年以上経過しています。補修や点検の際に稼働停止となるリスクがあるほか、トラブルによる停止も懸念されます。国内の電力需要は増加中のため、電力の供給量はさらに不足していくでしょう。参考:資源エネルギー庁|2024年度の電力需給について再エネ賦課金の値上げ再エネ賦課金も、今後の値上げが予想されています。再エネ賦課金とは、正式には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」と呼ばれ、再生可能エネルギーの普及を推進するための制度です。電気料金の一部で、以下の式で計算されます。電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再エネ賦課金この賦課金は、再生可能エネルギーによる発電コストを国民全体で公平に負担するために、電気料金に上乗せされて徴収されます。2024年度の再エネ賦課金の単価は3.49円/kWhで、過去最高の金額でした。さらに、電力中央研究所の予測によれば、2030年には再エネ賦課金が3.5〜4.1円/kWh程度に上昇する見込みです。参考:東京電力エナジーパートナー|2024年5月分以降の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価についてコンビニの電気代の高騰への対策コンビニで実践できる電気代の高騰への対策について紹介します。節電方法を見直す設備を見直す電力会社・料金プランを見直す節電方法には、今すぐできる方法や設備投資が必要な方法もあります。自社の店舗に応じた対策を選びましょう。節電方法を見直すコンビニでは、加熱保温設備や冷蔵・冷凍設備、空調設備、照明設備など、多くの電力を消費する設備が設置されています。ここでは、すぐに実践できる節電方法をまとめました。各種設備節電方法加熱保温設備冬季はおでんの蓋を閉める冷蔵・冷凍設備リーチインの補充や商品入れ替えに長時間扉を開放しない空調設備空調のフィルターを定期的に清掃する照明設備日中は太陽光を取り入れ窓際の電気は消灯する設備を見直す設備投資には初期費用がかかりますが、省エネ効果は大きく、長期的にはコスト削減が期待できます。たとえば、以下の設備に見直しましょう。空調・冷蔵・冷凍用熱源一体型システム細分化照明回路制御装置全熱交換器◾️空調・冷蔵・冷凍用熱源一体型システム空調と冷蔵・冷凍設備をひとつにして、電力消費を抑えるシステム。暖房時には冷蔵・冷凍設備の排熱を空調に活用し、冷房時には空調の過冷却冷媒を利用して電力負荷の軽減が可能。◾️細分化照明回路制御装置時間帯やゾーンごとに照度を自動調整できるシステム。店舗全体の照明を統合して制御するシステムを導入して、必要な箇所だけ照明を点灯させることで、無駄な電力消費を抑えられる。◾️全熱交換器換気時に排出される店舗内の熱を、吸気口から吸い込まれた外気に取り入れる装置。店舗内の熱を室外に逃さないため、空調への負荷を減らせる。とくに空調の使用が多い夏季と冬季に効果を発揮。参考:東京都環境局|コンビニエンスストアの省エネルギー対策電力会社・料金プランを見直す電力会社や料金プランを定期的に見直すと、電気代を簡単に節約できます。電力自由化の進展により、コンビニでも複数の電力会社から最適なプランを選ぶことが可能です。契約している料金プランと、他社の基本料金や電力単価を比較し、自社店舗に適したプランへの切り替えを検討しましょう。たとえば、24時間営業のコンビニの場合、夜間料金が安いプランを選ぶと、コスト削減が期待できます。電力会社やプランを見直す際には、一括見積もりサービスを活用すると効率的です。新電力ネットのような比較サイトを利用すれば、地域や使用電力量に応じた料金プランを簡単に比較できます。関連記事:飲食店の店舗の電気代の平均は?料金がかさむ理由や節約方法を紹介 まとめ本記事では、コンビニの電気代が高騰している理由や今度の対策について解説しました。コンビニを運営して利益を得るためには多くの電力を消費します。電気代を節約するには、まずは自社の店舗の電気使用量を正確に把握しなければなりません。電気代を節約したいと考えている本部総括の方は、ぜひ株式会社メンテルにご相談ください。株式会社メンテルでは、AIやIoTの技術を活用して複数の店舗の電気使用量を一元管理できるサービスを提供しています。