BELSとは概要BELSとは「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System」の略称であり、日本語では「建物と住宅のエネルギー性能に関するラベリング制度」という意味になります。具体的には、建物のエネルギー性能を星の数で表す評価制度であり、建築物や住宅の省エネルギー性能を、専門家でない一般のユーザーも理解しやすい形でエネルギー消費性能を可視化しています。BELSは建築物省エネ法に基づき、2016年に国土交通省が告示した第489号「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針」に従って設けられた評価制度です。BELSは、省エネルギー性能を第三者評価機関が評価し表示する制度であり、特に建築物や住宅の販売、賃貸の際に利用することで、そのエネルギー効率の高さを(星の数で)アピールし、国が定める基準を満たしていることを示すことができます。参照:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 建築物省エネルギー性能表示制度とは認証機関BELSの認証機関は、事務局である一般社団法人 住宅性能評価・表示協会に登録された登録住宅性能評価機関に必要書類を整えて申請を行います。登録されている事業者については同協会のホームページに掲載されており、2024年4月時点で合計115社が登録されています。参照:一般社団法人住宅性能評価・表示協会 BELS登録機関リスト省エネ性能ラベルについて -星の数で評価が変わる?-BELSでは、建築物の一次エネルギー消費量を基にした削減率や基準の適合性、さらに建築物エネルギー指数(BEI)に基づく5段階の星マークで性能が表示されます。評価は主に建物の外皮性能と一次エネルギー消費量を基に行われ、これらの評価方法は省エネ基準に準じています。BELSで評価される主な性能は以下の通りです:外皮性能(性能基準・仕様基準)一次エネルギー消費量(性能基準・仕様基準)一次エネルギー消費量の算出には、建物の給湯設備、暖房設備、冷房設備、換気設備、照明設備が消費するエネルギーが含まれますが、家電などその他のエネルギー消費は含まれません。【一次エネルギーとは】自然から直接得られるエネルギー(例:火力、水力、太陽光)を指し、これを変換や加工して利用しやすい形(例:都市ガス、電気)にしたものを二次エネルギーと呼びます。また、認証のランクについては以下の基準をもとに認定される。ランクBEI概要★★★★★BEI ≦ 0.8BELSの最高評価であり、さらに計算値が高ければZEB・ZEHの取得が可能★★★★0.8 < BEI ≦ 0.85BELSの中でも高い評価値であるが、5つ星を目指すのが望ましい★★★0.85 < BEI ≦ 0.9省エネ性能の向上を誘導すべき基準でありスタンダードな評価値★★0.9 < BEI ≦ 1.0新築建築物の省エネ基準(最低値)★1.0 < BEI ≦ 1.1既存建築物の省エネ基準(最低値)BELSの有効期間BELSは他の環境認証と異なり、有効期限という概念が存在しません。これは、あくまで申請時点のBELS評価書の内容を証明するという位置があることから、経年による変化を保証するものではないという部分に注意しましょう。参照:一般社団法人住宅性能評価・表示協会 BELSについてのQ&AZEBとの違いBELSによって評価される「BEI」(Building Energy Index)が特定の基準を満たす場合、以下のような4つのZEB(Zero Energy Building)カテゴリに分類されます。これには再生可能エネルギーによる効果(例えば太陽光発電など)も含まれます。表示項目BEIBEI再エネ分除く再エネ分含むZEB50%以下0.0%以下Nearly ZEB50%以下0.0~25%ZEB Ready50%以下-具体的には、BEIが50%以下である場合にのみZEBの対象となり、再生可能エネルギーを含めた総消費エネルギーが実質的にネットゼロ(一次エネルギー消費がゼロに等しい)になるものをZEBと定義しています。また、消費エネルギーの75%を賄う場合はNearly ZEB(ニアリー・ゼブ)、その他はZEB Ready(ゼブ・レディ)として分類されています。ZEHとの違いZEH(Zero Energy House)にもBELSと同様に、レベル別のカテゴリが存在します。これには「ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ゼロエネ相当」および「ZEH-M、Nearly ZEH-M、ZEH-M Ready、ZEH-M Oriented」といった区分があります。これらのカテゴリに分類されるためには、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費が少なくとも20%削減されていることが必要で、さらに再生可能エネルギーを含めて実質的にネットゼロを達成していることが求められます。表示項目BEIBEI再エネ分除く再エネ分含むZEH80%以下0.0%以下また、ZEHの評価ではBEI(Building Energy Index)の要件だけでなく、外皮性能基準(強化外皮基準)も考慮されます。この基準は地域区分ごとに設定され、定められた性能以上の外皮性能が必要とされています。BELS認証の評価書評価書とはBELSの評価書には2つの種類があり、建物に直接貼り付ける告示タイプの証明書と書面にて保存するタイプがあります。それぞれ証明書としての効果は同じですが、住宅ローン控除などを受ける際には評価書としてもらっておいた方が何かと利用しやすいでしょう。参照:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会 自己評価ラベルの見本住宅ローン控除への効果住宅ローン控除は、正式に「住宅借入金等特別控除」と呼ばれ、住宅ローンを利用して家を購入した人が、ローン残高の0.7%を所得税や住民税から控除できる制度です。この控除は入居後最長13年間適用されます。控除額は支払った税金を超えることはなく、所得税でカバーできない分は住民税から控除されます。住宅ローン控除の概要は以下の通りです:控除率は一律0.7%新築住宅の場合は13年間、既存住宅は10年間の控除が可能対象者の年収は2,000万円以下床面積が最低50㎡(特定条件下では40㎡以上でも適用可能)耐震基準に適合しているか、昭和57年以降に建築された住宅が対象さらに、住宅の環境性能によっては、借入限度額を増額することもできます。この制度は、税負担を軽減し、より多くの人々が住宅を購入しやすくするために設計されています。住宅ローン控除を受けるために必要な性能は4つのカテゴリーに分けられます。認定長期優良住宅認定低炭素住宅ZEH水準省エネ住宅省エネ基準適合住宅このうちのZEH水準省エネ住宅に該当することで、上記の住宅ローン控除を受けられることになるため、BELSの取得が節税へと繋がっていきます。参照:国土交通省 住宅ローン減税 Q&ABELS認証の申請費用BELS認証の申請費用は一律ではなく、各社それぞれ価格を設定しているため、複数社の金額感をこちらで紹介していきます。モデル建物法Ⅰ種Ⅱ種Ⅲ種300㎡未満77,000円55,000円143,000円300~500㎡未満88,000円66,000円165,000円500~1000㎡未満99,000円77,000円187,000円標準入力法Ⅰ種Ⅱ種Ⅲ種300㎡未満154,000円132,000円264,000円300~500㎡未満165,000円143,000円286,000円500~1000㎡未満187,000円165,000円308,000円標準入力法はモデル建物法に比べてより詳細な評価が可能ですが、その分計算に必要な時間とコストが増加するという欠点があります。一方、モデル建物法はより簡略化された評価手法で、特定の用途に基づいた仮定のモデルを用いて計算が行えます。ただし、この方法での評価結果は標準入力法に比べて若干安全側(不利側)に出る傾向があるため、認証レベルと予算をそれぞれ考慮する必要があります。BELS各認証についてBELS認証について用途別の取得実績は以下の通りとなります。次に、用途ごとの各月の申請件数については以下の通りとなります。非住宅系については毎月60~200件程度が申請されていることがわかります。一方、住宅系については13,000~18,000件が申請されています。この差としては、住宅の場合共同住宅等においては、戸別に申請及び認証取得が行われるため、件数が文字通り桁違いに大きくなっています。次に、都道府県毎のBELS評価書交付件数については以下の通りとなります。東京都が最多で、次いで愛知県、大阪府、神奈川県、埼玉県と続いていきます。次に、BELSを取得した物件におけるZEB及びZEH等の割合については以下の通りとなります。最初にZEBを取得した物件の割合について見ていきます。BELSを取得したビルのうち、ZEB関連の認証を取得した件数は全体の半数程度となりました。また、その中で最高等級であるZEBを取得した件数は約0.8%であり、ZEBを取得しエチルことは市場においても一定の価値があると判断できるのではないでしょうか。次に、ZEH(戸建て住宅)についての主億割合を見ていきましょう。ZEH(戸建て住宅)においては、BELSを取得した案件のうち約7割の物件がZEH関連の認証を取得しています。また、ZEH取得の割合は全体の4割程度で、ZEBに比べると高い割合で最高評価の認証を取得している傾向があることがわかります。最後にZEH(集合住宅)について取得割合を見ていきましょう。ZEH(集合住宅)については全体の9割程度の物件でZEH関連の認証を取得しており、ZEH(戸建て)に比べて、かなり高い割合で認証を取得していることがわかります。理由としては、集合住宅の場合、戸建住宅に比べて共用部などが充実しており、外壁の断熱性やエネルギー効率等が高くなる傾向にあることが挙げられます。参照:一般社団法人住宅性能評価・表示協会 BELS事例紹介住宅系での取得事例住宅系では中央日土地建物株式会社によるバウス府中を紹介いたします。バウス府中は中央日土地建物グループが販売する分譲マンションで、以下のような特徴があります。1.「ZEH-M Oriented」および「BELS」5 つ星評価を取得2.京王線「府中」駅 徒歩 3 分の好立地に誕生する 78 戸の分譲マンション3.広い間口を実現するワイドスパンや柱を室外側に出すアウトポールを中心としたゆとりある室内空間4.多彩な植栽を配したプライベートガーデンや住民同士の交流を促進するイベントの開催このように、新築分譲住宅の販売においては、高いレベルの環境配慮が求められ、それぞれBELSの★5ランクあたりは標準仕様になりつつあるといえるでしょう。非住宅系での取得事例非住宅系では、株式会社シーアールイーが取得した物流施設について紹介いたします。東京と福岡のそれぞれの案件にて★5のBELS認証を取得しており、福岡県糟屋郡の案件に至ってはZEB Readyの認証も取得しています。物流施設は昨今も需要が非常に高く、特に中での作業や食品系の倉庫の場合は高いレベルでの環境配慮・エネルギー効率が求められるため、こちらに関しても新築の場合はBELS★5が標準仕様と言えるでしょう。まとめいかがでしたでしょうか。BELSは日本国内での環境認証の中で特にエネルギー効率を重点的に見ることが分かったかと思います。また、認証件数だけでいうと他の認証に比べて圧倒的に件数があるほか、上位認証であるZEBやZEHへと続いている調査を行うことになるので、ほかの認証へのつながりなども考えると良い認証であると言えるでしょう。