「神戸大学の研究について詳しく知りたいな…」「AIスマート空調の実証実験でどんな結果が出たんだろう?」と考えていませんか?神戸大学は、AIを活用した空調制御の実証実験を行い、その結果を発表しました。その発表によると、AIスマート空調システムは、快適な室内環境を維持しながら、消費エネルギーの削減を実現するようです。しかし、その内容を詳しく聞かれるとわからない方もしばしばいるでしょう。そこで、本記事では神戸大学の実験の詳細と、AIによる空調制御がもたらす効果についてわかりやすく解説します。AIスマート空調に関心がある方は、ぜひ最後までご覧ください。神戸大学の長廣剛教授の研究「AIスマート空調」とは神戸大学の長廣剛教授は、カーボンニュートラル推進本部で特命教授を務めています。その長廣教授はAIスマート空調の研究を行っています。研究の内容は、AIにより人流や温熱環境などのデータを収集し、そのデータに基づき空調をコントロールすることです。この研究により省エネを実現することになり、CO2削減のきっかけとなりました。具体的に説明します。まずAIやIoTセンサーを活用して、人の流れと温熱環境を計測し、どこに何人いるか、どの時間帯に人が集まるのかなどのデータを収集します。設置されたIoTセンサーが、気温や湿度、人がいる空間の広さ・高さ・場所・時間・人数などのデータを数値化します。収集されたデータを基に、AIが空調をコントロールします。人がいる場所では空調を強め、いない場所では空調を停止することで、空調の稼働時間を減少させ、CO2削減を目指します。神戸大学の実証研究は、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となるでしょう。神戸大学のAIスマート空調の実証研究の事例AIスマート空調技術の実用化を目指し、長廣教授は地下街や商店、空港などで実証実験を行いました。ひとえにAIスマート空調といっても、導入される場所に応じて活用方法は多岐にわたります。ここでは多くの実証実験や活用方法の中から、3つの事例を紹介します。人の流れを把握し、消費エネルギーを削減する取り組み室温の差を見える化し、快適性を上げる取り組み冷蔵陳列台の冷気を活用し、光熱費を抑える取り組み順番に見ていきましょう。人の流れを把握し、消費エネルギーを削減する取り組み神戸市の地下街「さんちか」では、人流予測と気流コントロールにより消費エネルギーを40%以上削減しました。出典:世界初!デジタルテクノロジーを活用した空調制御技術「AI スマート空調」「さんちか」の課題である冷暖房の負荷を軽減するため、まずIoTセンサーで人のいる場所や時間を計測し、AIが行動予測を行います。この予測をもとに、人がいる場所に風を運び、地下街の快適性を保ちました。さらに、空気の逃げ道になる開放部には、気流のコントロールを導入し、空気の逃げを防ぐ仕組みを採用しました。出典:神戸大学【課題名】人流・気流センサを用いた屋外への開放部を持つ空間の空調制御手法の開発・実証より気流のコントロールにもIoTセンサーを使い、流れを計測しています。その後、AIが指示を出して、空調で最適な気流を生み出します。効率的な気流を作り出すことで、地下街の消費エネルギーは削減されました。室温の差を見える化し、快適性を上げる取り組み関西国際空港では、室温の見える化を通じて消費エネルギーの削減を実現しました。空港内は気候の異なる地域からの訪問者が多いため、空調を一律管理しても快適性を損なう可能性があります。そこで長廣教授は、外気温の影響を受けやすい場所や温度変化の激しい箇所の温度を見える化し、利用者が温かい場所や涼しい場所を選べるようにしました。これにより、空調の過度な稼働を避け、消費エネルギーを削減しました。冷蔵陳列台の冷気を活用し、光熱費を抑える取り組みスーパーマーケットでの実証実験では、消費エネルギーを76%抑えました。その方法は、冷蔵陳列台から流れ出る冷気の再活用です。実験前の検証では、冷蔵陳列台からの冷気は8℃、冷房からは15℃の冷気が出ていました。陳列台の冷気より冷房の温度のほうが高いため、空調で冷蔵陳列代を温めていることになります。この点に着目し、冷蔵陳列台の冷気を利用して、冷たい気流を生み出すことによって冷房の代わりにしました。これにより、店内の空調の使用量を大幅に減らし、光熱費の削減を実現しました。※これらの研究は株式会社メンテルが共同で行っている訳ではありません。神戸大学のAIスマート空調の研究で得られた消費エネルギー削減効果さまざまな実証実験により、AIスマート空調の消費エネルギー削減効果が明らかになりました。たとえば「さんちか」では、基準日よりも50%の低炭素化を実現し、二酸化炭素の排出削減に貢献しています。出典:世界初!デジタルテクノロジーを活用した空調制御技術「AI スマート空調」温度だけではなく、気流のコントロールも組み合わせることで、無駄なエネルギーを使わずに効率的な空調が可能となります。これらの実証実験を参考にし、現在も実用化に向けた研究が進められています。神戸大学のAIスマート空調の研究|まとめ本記事では、神戸大学・長廣教授が行った、AIスマート空調の実証実験について解説しました。AIによる空調コントロールの効果をイメージしていただけますと幸いです。長廣教授の取り組みは、大手百貨店でも採用され、現在も実証実験を継続しています。AIスマート空調は、快適な室温を保ちながら脱炭素を実現するための重要なツールです。メンテルでは空調から収集したデータを基に空調の負荷や温度の予測を行い、空調の稼働を最適化するソフトウェアを開発しています。関連記事:AIを活用した空調制御とは?実現する快適性とエネルギー効率を解説